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愛知 名古屋の建築設計事務所 / 住まいの建築人・tajimaのイキヌキニッキ

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濡れたグラスウール

濡れたグラスウール_a0049695_21251577.jpgうちのすぐ裏で建売住宅の工事が進んでいます。

今朝早くに、ゴミ出しで表に出てふとその現場を見るとこの状態で床用のグラスウールが置いてある。

置いてある、とは言えないですね。放り出してある感じ。


そして、昨日の夜から雨が降っていて、この時点でも小雨が降っている。

雨の中、土の上に無造作に放り出された新品のグラスウール。

いくら新品はビニールに梱包されているとはいえ、この状態の現場管理はあり得ません、ボク的には。


工事は、昨年に大量の強度不足住宅をだした建設会社。

こういう現場は、誰も責任を感じて工事をしていません。

自分たちのつくるものに多少でもプライドなり責任なりを感じていたら、これから使う新品の材料をこのようには絶対しない。

監督はこんな状態を知らないのだろうし、会社も知らないだろうし、当然、これから住むであろう未来の住人も知りません。

この会社にとっては、大量に建設するローコスト住宅の、たかがいち材料だろうけど、こういう扱いをすることでその会社の実力がわかります。

残念な会社で、残念な現場、そしてなにより、それを買うだろう住人が残念です。



そう思っていたら、あさの9時ごろにはバタン、バタンと音がする。

外は今朝の雨が強くなっていて、大雨。



濡れたグラスウール_a0049695_2144112.jpgこの雨の中なにか作業しているのかな、と思って2階の寝室から覗いてみると、大雨の中、大工らしき人がグラスウールを床下に敷き込んで、その上に構造用合板を敷き並べている。

この大雨の中、グラスウールを敷いて、合板を張っている・・・。あり得ない・・・。



物理上、グラスウールが濡れると絶対にだめ、ではありません。

グラスウールは材料自体は吸水はしません。ただし、繊維と繊維の間の空隙に水滴が保水されます。
陰干しの状態で、数日経てば乾いて、完全に乾燥すれば本来の性能を発揮します。
また、床用のグラスウールは撥水処理もされ、通気性もあるので、数日で乾くでしょう。
床下は基礎パッキン工法でしたので、床下が通気されるときにグラスウールも乾燥していくと思われます。
ただ、その乾燥までの数日間、湿潤状態で土台と接していることになりますので、カビなど発生はあるかもしれません。


ただ未だに、「グラスウールは濡れると良くない」 という通説が世の中にはあります。
工事中にグラスウールが濡れ不安だ、というお施主さんの声も多いのです。

問題ないんだ、と反論することはいかようにもできますが、もっと大切なのは、お施主さんを不安にさせるような仕事はしない、ということだと思います。

問題ないと言われても大雨の中グラスウールを入れる作業をするのと、問題ないけれども雨に濡れないに越したことはないので一日延期するのと、お施主さんとして説明を受ければ多くの人は後者を選ぶはずです。

そして、どちらが信頼されるかと考えれば、施工者側だって後者だとわかるはずです。


でも、それがわからない、わかろうともしない会社も存在する。

建売住宅という、お施主さん不在の建築だから、自分の都合で早く、安く、見栄えだけはきれいに作って売り抜けばOKなんでしょうか。

少しでも信頼を積み重ねようと思ってコツコツとまじめに仕事をしている会社が多いと信じたいですが、こういうお施主さんを無視した会社があることが、同業者の一人として残念です。
by tajimbo | 2009-08-22 22:29 | 建築
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