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愛知 名古屋の建築設計事務所 / 住まいの建築人・tajimaのイキヌキニッキ

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建築家 安藤忠雄

建築家 安藤忠雄_a0049695_2226663.jpg昨年末に購入していた 「建築家 安藤忠雄」 (安藤忠雄 著) を読む。

380ページ程もある分厚い本です。
読むのに1週間はかかるかと思いきや、4時間くらいで一気に読んでしまいました。

建築家と言われる人の文章は難解な文章が多く、一般の人に向けた読みやすい本というよりは、同じ建築界の人たちに向けた、自分を誇示したいという匂いがする本が多いので、基本的には読みません。

基本的なところで、ボクは現場主義の「建築人」なので、「建築家」のウンチクが嫌いというのがあります。


この本は、建築家・安藤忠雄の自伝として出版された本です。
時折、テレビにも出てくる関西弁の、職人気質の感じられる安藤忠雄氏がどのような人生を歩んできたのかが気になって、読んでみました。

全体の印象としては、読みやすく、難解なことを言っている建築家とは違い、情熱的でまっすぐな建築設計職人という印象で、共感できる部分も多く、心から建築を愛しているのがわかる、良い本でした。


その中での印象的なくだりで、

(自分なりの打放しコンクリートを追求するなかで)一歩一歩、技術を蓄えていったが、経験を積むうちにはっきりしたのは、結局、一番大切なのは、現場で働く人間の”気持ち”だということだった。型枠に流し込まれるドロドロとした砂と砂利とセメントの混合物。それがびっしりと編みこまれた鉄筋の間をすりぬけて、型枠の隅々まで行き渡るまで、監督も職人も、木槌と竹棒をもって走り回る。そこでの彼らの目的意識の高さ、つまり、”いいコンクリートを打ちたい”という思いが、そのまま仕上がりに表れるのだ。

(中略)

いかにしてつくり手にモノづくりとしてのプライドを発揮してもらえるか、コンクリートの成否は、建築家と現場の間の人間関係の確かさにかかっていた。 



「コンクリート打放し=安藤忠雄」 というぐらい、コンクリート打放しは安藤忠雄の代名詞でもあるのだけれど、その自分自身とも言っていいコンクリート打放しは、現場の職人の”気持ち”が伴わないと、建築家の想いと職人の想いが一致しないと、”いいコンクリート”にはならないと言う。


建築家としては誰もが自分自身の想いをわかって施工してほしいと思うが、職人の想いまで理解している建築家はどれほどいるのだろう。

建築家・設計者の多くは、現場の大切さ、大変さは頭では理解していると思うが、現場上がりのボクとしては、本当の意味で理解している建築家・設計者は、多くはないと感じています。




その他にも、共感する、感銘を受ける部分もあり、いい本だと思います。
by tajimbo | 2009-01-05 23:17 | 建築
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