1月末に、中堅の木造注文住宅メーカーの 「富士ハウス」 が破産しました。
数年前に、富士ハウスの営業マンだった友人のお付き合いで、静岡の本社工場まで見学に行ったことがありました。
工場は全自動化されて、柱や梁、断熱材を貼り付けた構造用合板などもすべて工場で加工されて、すごい工場だなーと感心して帰ってきた覚えがあります。
今回、負債総額は636億円。
①、業者と資材を何とか手当てして、この2月末までに完成させる物件は250件。
②、3月1日以降に完成予定で、すでに着工している物件は478件。
③、契約は完了し、手付金や契約金などを受領しているものの未着工の物件は804件。
ものすごい数のお施主さんが大変な状況に置かれています。
下請け業者、納入していた建材メーカーも相当の被害を被っていると思います。
まじめに働いてきた社員の方も、被害者かもしれません。
このニュースを聞いた当初は、大手メーカーなので 「完成保証(※)」 などの保証は万全だろうから、完成までは何とかできるだろう、と思ってました。
(※完成保証・・・途中で元請業者が倒産しても、先に払いすぎて戻ってこないお金には保険から補填され、工事続行してくれる業者も紹介してくれる保証です。ただし、手放しで「完成」させてくれるわけではなく、請負金額の1/3かつ1100万円までの保証です。(住宅あんしん保証の場合。))
でも、最近の情報を見てみると、どうやら、「完成保証」 はついていないようです・・。
完成保証がないということは、契約金や中間金を支払ったが実際の工事の進行がその金額以下の場合は、払いすぎている状態(過払い)であり、その過払い金はほとんど戻ってきません。(富士ハウスの場合、過払い金の10~20%程度は戻ってくるようですが)
新聞の記事では、着工前に60%以上の金額を支払い、大変な状況に置かれている方もいるようです・・。
同じ、住宅の造り手としては今回の状況は非常に残念で、被害にあわれているお施主さんが気の毒でなりません。
上記の①の方は、まだ、何とか完成まではこぎつけることができそうですが、完成後のアフターメンテは何の保証もなく、何か不具合があったら、お施主さんが自ら業者を探して、当然、工事代金も支払わなくてはなりません。
(富士ハウスは木造在来工法のメーカーなので、今後、不具合が出ても地場の工務店などでも対応はできるのが不幸中の幸いかもしれません。)
②や③の方は・・・それ以上に厳しい状況です。
スポンサー企業が内定しているそうで、今はそのスポンサーとの協議がうまく進むのを祈るしかありません。
残念ですが、大手のハウスメーカーだからといって、安心できる世の中ではなくなってきました。
うちの兄貴の正栄工務店は小さな地場の工務店です。
工事を依頼していただけるお施主さまの不安を少しでも小さくできればと、上記の(株)住宅あんしん保証の 「完成保証」 に工務店側で保険金額を負担して加入しています。
法律でも義務化された、構造体や雨漏りの瑕疵(かし)に対して10年間保証する 「瑕疵保険」 にも当然、加入しています。
これらで万全というわけではありませんが、少しでもお施主さまの不安を解消する方法をこれからも考えていかないといけません。